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私が否定したのは、「パッケージに業務を合わせろ」というプロセス・モデルの押しつけである。 パッケージが前提にするプロセス・モデルとそれを支える構造コンテキストを受け入れることが、企業活動の有効性と効率性を向上させるという確信がないかぎり、パッケージを導入するべきではない。

そして、プロセス・モデルと構造コンテキストの正当性・妥当性・不可避性の判断は現業部門が行うべきことであり、SIベンダーが押しつけるべきことではないのだ。 私は、リレーショナル・データベースとMRPを前提にしている種類のERPパッケージを意識して、業務改革の視点から注意を述べてきた。
しかし、リレーショナル・データベースとMRPをすべてのパッケージが前提にしているわけではない。 実は、先ほども述べてきたように、新しいパッケージ技術が今出現しつつある。
それは、ERPというよりも、「L」あるいは「アプリケーション部品」と呼んだほうがいいものだ。 それは、企業ごとにプロセス・モデルが異なることを前提にして、多様なプロセス・モデルに対応できる部品をパッケージとして提供しようとする試みである。
この方式ならば、MRPではない生産方式をとっていても、パッケージと導入企業の構造コンテキスト同士の矛盾に陥る恐れが少ない。 この試みは、以下の特徴があるだろう。
@適切な大きさの、独立性の高いモジュール群を作り、目的に応じて組み立てられるようにしておき、再利用できる可能性を高めるA各企業がプロセス・モデルを自分で書き、必要なモジュールを集めるBオブジェクト指向のパッケージが内蔵する「オブジェクト・モデル」を基本にして自社のプロセス・モデルと比較し、合致しているか類似していれば、そのオブジェクトを利用する。 若干の違いは、オブジェクト指向技術の「継承(Inheritance)」機能によって共通部分を利用し、異なる部分を「差分プログラミング」によって補う。
CSIベンダーは、部品だけではどう組み立てればよいか分かりにくいので、典型的な業務に合わせて部品を組み立て、「参照モデル(ReferenceModel)」として提供する。 D基幹系だけを「開発」する情報系・オフィス系は、必要な部署が必要な時に、ユーザ主導でつくり修正する。
このような特徴を持つパッケージは、構造コンテキストが柔らかいので、従来のように「パッケージに合わせて業務を改革する」必要はない。 パッケージの役に立つところのみを利用できるはずである。
上記したパッケージの新しい動向については、後ほどさらに詳しく説明する。 ERP導入の留意点パッケージ導入とはERPパッケージ導入に関する誤解を解く単一機能のアプリケーション・パッケージ導入とは異質である。
ERPパッケージ導入にまつわる問題が多発している。 このことについては先ほど説明した技術的な原因も少なくないが、ERPパッケージ導入そのものに関する誤解が少なからぬ問題を引き起こしている。
最初にこの誤解を解くことが重要と考える。 汎用機の生産管理パッケージ、オフコンの販売管理パッケージ等の導入で苦労を重ねてきたベテランSEは、パッケージ導入というと、ある機能に特化したパッケージをイメージしてしまう。

「販売管理パッケージ」、「会計パッケージ」などがそうである。 この種のパッケージのユーザは、その業務機能に対応した職能部門であった。
しかし、全社業務を対象として開発されたERPパッケージは性質が違う。 従来の「機能別パッケージ」を集めて、システム間インターフェースを調整し、統合パッケージと称しているわけではない。
統合データベースを構築しデータを一元管理することにより、全アプリケーションと全データの統合を目指している。 また、パッケージがカバーする業務範囲がほぼ全業務に広がるため、必然的に業務改革を要求するという側面を持っている。
単一のアプリケーション・パッケージ導入とERPパッケージ導入は異質であることを忘れてはならない。 単なるソフトウェア開発の代用ではない導入作業によってユーザ企業がこれまで蓄積してきたソフトウェア(ソフトウェア遺産、あるいはレガシー・ソフトウェアと呼ばれる)の多くがERPパッケージに置き換えられる。
しかし、それはソフトウェア開発の代用ではない。 ソフトウェアの機能や構造が変わり、その影響によって、業務内容や先ほど述べたようなビジネスの構想(コンテキスト)も変化することが多い。
単にソフトウェアを安く、短期間で入手できると思っていると、思いがけない陥奔に陥る恐れがある。 パッケージの背後にある概念や業務ノウハウを吸収することなしに、ソフトウェアが動くだけでは、ERPパッケージ導入は無意味になりかねない。
情報技術の吸収も必須であるERPパッケージ導入により、企業全体の情報技術は一気にパッケージの水準まで引き上げられる。 逆に、利用者たちの情報技術が向上しなければ、ERPパッケージは宝の持ち腐れになってしまうであろう。
経営者が新しい情報技術を理解していなければ、ERPパッケージ導入は単なる業務改革に止まり、従業員の質的向上とか企業文化の改革にはつながらない。 現在の情報技術は人手で行う仕事を自動化する程度の代物ではない。

人手では到底できない仕事を実行可能にする「変革のイネーブラー」である。 これをベースに新しい事業や職業、さらには産業を生み出す潜在能力を持っている。
これを活用する方策の一つとしてERPパッケージを利用していただきたい。 ERPパッケージ導入とは以上のことを要約すると、ERPパッケージ導入は次の事柄を含むさらに企業固有の事項が盛り込まれることも多いであろう。
(1)ソフトウェアの入手、(2)業務内容の改革とノウハウの吸収、(3)業務構想の改革、(4)情報技術の吸収コンサルティング会社、パッケージ・ベンダー、SIベンダーとその立場と過去の経験により提唱する導入方法は異なっている。 そこにユーザ企業の混乱が生まれる原因がある。
現在考えられるERPパッケージ導入パターンの主要なものとして、以下の4つがある。 (1)BPRを実施後、ERPパッケージを導入する、(2)業務をERPパッケージに合わせてBPRを推進する、(3)ERPパッケージの特徴や機能を理解しつつ、BPRを推進する、(4)ERPパッケージを導入した後にBPRを実施する。
BPRを実施後、ERPパッケージを導入するこのケースは、「ERPパッケージ」の導入の前に、本格的なBPRを実施し、その後、ERPパッケージを導入するという方法である。 この方法の利点は、自社のビジョンと想定される将来の経営環境を考慮に入れたうえで、ビジネスプロセス、組織のデザインを行えることである。
従来、この方法でBPRを実施した後は、この新しい経営システムをサポートするための情報システムを構築していた。 業務をERPパッケージに合わせてBPRを推進するERPパッケージ導入の話題が盛んになるにつれ、業務をパッケージに合わせ、パッケージをカスタマイズしないという方針を経営者が下すケースが出てきている。

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